第19章 休日の過ごし方(跡部/不二)
不二「そうだなぁ、テニスの特集で少し撮られたことはあったけど、こうして個人的に撮ってもらうことは少ないかな」
めいこ「そっかー、そうなんだぁ」
不二「うん、だからこうして和栗さんに撮ってもらえるの、すごく嬉しいよ」
そう微笑んだ一瞬、後光が見えた気がした。
めいこ「喜んでいただけて何よりですハイ」
逆にぶちょーがこんな笑顔かましてきたらめっちゃ怖い。
何かありそうで怖い。
そう思いながら不二の撮った風景を見ていくと、室内のサボテンがひな壇に並んだ写真が目に止まった。
めいこ「すっごい数!」
不二「ん?どれかな」
そう言ってこちらに体を傾けてきた不二と、今度は肩が当たる。
因みに膝は当たったままである。
近い近い近い!
これ左向いちゃいけないやつ!
不二「僕の家だよ。ふふ、いつの間にかね」
笑った息が耳にかかってくすぐったい!
天然?!不二先輩天然でやってるの?!
めいこ「わ、わかりますー。あたしも多肉ちゃん、一目惚れしちゃうとどうしても連れて帰りたくなっちゃうんですー」
不二「本当に、サボテンも多肉も、すごく不思議な色と形をしてるよね」
めいこ「ですよねぇ」
一生懸命平然を装って紅茶を飲むが、かなりの密着に内心はテンパっているのであった。
不二「あ、可愛いね、この薔薇」
不二はめいこのカメラを見て呟いた。
めいこ「そうですか?!それうちの子なんです!かわいいですよねー」
無意識の内に、めいこは不二の顔の前まで頭を傾けて画面を覗き込んでいた。
さっきよりよっぽど密着している。
不二「和栗さんて、本当に植物が好きなんだね」
めいこ「いやー、あはは、普通の人よりちょっとってだけでー」
不二は目の前にある、めいこの頭頂部に鼻を近づけた。
不二「髪の毛も、良い匂いがする。和栗さんがお花みたいだね」
めいこ「どえっ!」
自らもくっついてしまったことに気がつき、頭を抑えながら後ろに飛び退くと、ドンっと壁に当たった。
不二「どこのメーカー?」
ひぃい、誰にも会う予定無かったから、ぶちょーからもらったヘアオイルつけてきちゃったんだよねぇえ!
めいこ「い、頂きものだからーちょっとーわかんないーですー」