第19章 休日の過ごし方(跡部/不二)
めいこ「うーん、やっぱ家よりかサクサクやー」
めいこは今、デパートの中に入ったばかりの写真屋さんに来て、現像する写真を専用のパソコンで選んでいるところである。
この店では、自宅のパソコンで写真を注文し、店舗受け取りが1番安いのであるが、この間はそれによってパソコンがフリーズしたため、直接選びに来たのだった。
昨日撮った試合の写真もあるし、丁度良かったかもしれない。
そう思いながらめいこは作業を進めていた。
めいこ「よし、こんなもんかなー」
予算内の写真を激選すると、okボタンを押して注文書を印刷する。
それをレジに持っていこうと立ち上がると、入れ違いに誰かが座った。
「あの、すみません」
すると、直ぐにその座った人に呼び止められた。
「SDカード、抜き忘れてますよ」
あっと声を出して振り向けば、そこには昨日知り合ったばかりの彼がいた。
めいこ「え?!不二先輩?!」
不二「あれ、和栗さん?奇遇だね。こんにちは」
ちょっと驚いた時に目が開いたが、直ぐにいつもの笑顔になった。
めいこ「こんちわー」
ペコッと軽く会釈すると、モニター横の小さい機械からSDカードを引き抜き、レジに注文書を出した。
不二先輩はとっても爽やかハンサムで、しかも気の利く良い人で、きっとモテるに違いない。
んだけれど、いつも笑顔の人って何考えているかイマイチ分かんなくて、実のところ少し苦手なんだよねー。
まだ昨日会ったばかりで、人物像を掴みきれていないというのもあるけど。
「印刷が出来上がりますのが、今から約1時間後となります」
店員さんにそう言われ、うーん、何して時間潰そうかなと上を向きながら歩き出す。
不二に軽く会釈して、横を通り過ぎようとした。
不二「ちょっとまって。もし良かったら、この後お茶なんてどうかな」
普通に挨拶だけ済ませたら立ち去ろうと思っていたので、そう声をかけられたのは意外であった。
めいこ「いい...です...けど...」
動揺のあまり変な回答になってしまった。
不二「よかった」
ホッとしたような笑顔を浮かべる不二に、ドギマギしてカバンの紐を両手で握った。
不二「ココどうぞ。もう直ぐ終わるから」
不二は自分の横にある丸椅子を指さした。