第19章 休日の過ごし方(跡部/不二)
めいこ「あぁっ!まってぇー!」
めいこはパステルカラーの牧場で、綿菓子で出来たモフモフ羊達を追いかけているところである。
めいこ「まってー!いちご味ー!味見させてー!」
跡部「何寝ぼけたこと言ってやがる」
めいこ「はっ!その声は!ぶちょー!」
声のした頭上を見れば、太陽が跡部の顔になっている。
めいこ「俺様太陽!」
跡部「俺様は今日も輝いてるぜ?...っていいかげん起きろこのスットコドッコイ!!」
ぶっぶちょーがスットコドッコイって言ったぁあああ!
びっくりした途端、メルヘン牧場は一変して暗くなる。
ん?あたし横たわってる?
そこでさっきの世界が夢だったことにやっと気がつき、少し残念な気持ちで目を開けた。
太陽の光が差し込んだ明るい部屋。
目の前には開きっぱなしの携帯。
跡部『フッ、いい夢見れたか?俺はモーニングランしてくるから、そろそろ切るぜ』
そこからは跡部の声が聞こえてきた。
めいこ「へえぇえ?」
寝ぼけた変な声しか出ないのであった。
跡部『心配すんな、俺が好きで繋いだままだっただけだからな。ま、今回の電話代は出してやるよ』
めいこ「ほえぇえええ?」
跡部『寝ぼけたお前も、可愛かったぜ』
めいこは叫びにならない声を上げて枕に突っ伏し、ジタバタした。
跡部『今日はオフだ、ゆっくり休めよ。じゃあな、また何かあったら連絡する』
めいこ「あり?ありがとうございました?」
跡部『フッ、ああ』
【プツッ...プープープー】
放心状態のまま、自分が握った携帯を見下ろす。
そうだ、昨日ぶちょーにちょっとワガママ言って、ほんの間だけ繋いだままにしてもらったんだっけ。
そしたら、羊数えてくれて..はて、何匹まで数えたんだったっけ。
でもあたしが寝るか、はたまたちょっとしたら切ると思ってたのに、まさか朝まで繋いでてくれたなんて...。
電話代いったいいくらになったんだぁああ!
っていうか、逆に寝たフリしとけばぶちょーのレアな寝息が聞こえたのでは?!
あああなんかしくじった感!
ガシガシと両手で頭をかきながら、ベットからゆっくりと起き上がる。
さて、今日は何して過ごそうかな。
夏休みは始まったばかり。
セミの音をぼんやり聞きながら、トイレに向かうのであった。