第18章 【過去】ニャン月ニャンニャン日にて(千石)
千石「おっ♪イイネー、その反応」
千石が扉を開けると、ドアベルがコロンカランと鳴った。
「いらっしゃいませー」
奥から出てきたのは、ベージュのワンピースに、焦げ茶色のエプロンを身に着けたかわいらしい女性店員さん。
千石が片手を上げてニコッと挨拶すると、店員さんも笑顔で返す。
「千石様ですね、お待ちしておりました」
千石「どうもー♪」
「ご案内いたします」
え、顔パス?!っていうか...
めいこ「よ、予約?」
千石「あぁ、ここ、半分は予約枠だから、人気だけどメチャ混みにならないんだよねぇー」
めいこ「へぇー」
うーん!いやそうではなくて!
「こちらのお席になります」
案内されたのは、木の幹をくり抜いたような作りの個室。
その周りも、切り株や小さな階段、キノコなんかが作られていて、猫さんは思い思いの場所でくつろいでいる。
なんとも不思議な森に迷い込んだようだ。
めいこ「すっごー!」
「どうぞごゆっくりおくつろぎ下さいませ」
千石「ありがとー♪」
千石がニコニコと手を振ると、店員さんもふんわり優しい笑顔で会釈し、その場を離れた。
千石「はぁ、かわいー(店員さんが)」
千石は鼻の下を伸ばしながら、店員さんの後ろ姿をうっとり見つめていたが、周りの光景に夢中のめいこは気が付かないのであった。
めいこ「確かに、かわいい子(猫)ばかりですね」
千石「でしょでしょっ?」
中に入ると、この個室の壁際には小さな窓が空いており、暖かな光が差し込んでいた。それがちょうど当たるテーブルの上には、薄茶色の猫が気持ち良さそうに眠っている。
めいこ「ニャンコがいるーっ!かわいーっ!」
千石「この猫さん、ここ気に入っててよく居るんだよねぇ」
めいこ「へぇー!」
クリクリと少し巻いた毛は、反射して金色にも見える。
ん?なんだかこんな先輩、うちの学校に居たような..。
千石「いやぁー、実は今日、他の友達(女の子)とここで待ち合わせてたんだけど、さっきドタキャンされちゃってさー」
めいこ「なるほど、だから予約済だったんですね」
千石「んでもそのおかげで、こうして可愛いめいこチャンに会えたんだから、やっぱ俺ってラッキーだよねっ♪」