第3章 終業式の後に(芥川/跡部)
無事定期考査も終わり、今日は終業式だ。
明日からは待ちに待った夏休みが始まる。
あの日以来、跡部の態度が少し変わった。
学校内でめいこと会うと、「おはよう」と言ってくれたり、遠くにいてもさりげない合図を送ってくれるようになった。
挨拶をする瞬間は、たまたまめいこの近くにいた生徒にも目配せするというアイドルのような抜かりなさで、周りで黄色い悲鳴が上がる。
ひと目がなくなれば、1日1回は勝手にシャツをめくって、ヒョウがあたって怪我した脇腹を確認してくるので、めいこは毎回「ギャー!!」と叫ぶのであった。
芥川「...あれぇ、和栗じゃん」
場所は変わってここは終業式が終わりガラっとしている教室。
そこに今まで机に突っ伏して寝ていた芥川ジローと、前の席にはめいこが座っていた。
めいこ「おはようございます、先輩」
めいこは後ろを振り向きもせず、何かを一生懸命書いている。
芥川はボーっとした頭でのそのそと起き上がると、机からハラリと紙が落ちた。
芥川「んー、なにこれー」
めいこ「課題ですよ課題!さっき配られたのに先輩起きないんだもん」
芥川「へー、和栗も赤点取ったんだー」
そう、ここは終業式後に開かれる学年合同補習授業。
課題はこの前の定期考査で落としたテストをもう一度やるというもの。
しかし100点を取るまでこれは何度も行われる。
早い生徒は隣の準備室にいる先生のチェックをもらってすでに帰っており、今ここにいるには芥川とめいこのみだった。
めいこ「違います!定期考査の開始時間、1時間間違えて生物のテスト受けそびれたんです!」
芥川「わはは、バカだCー」
めいこ「先輩に言われたくないですー!」
芥川「俺はー、テスト中寝ちゃっただけー」
めいこ「バカだCー!」
芥川「ムッ、なんだとー!」
芥川はめいこの脇をくすぐりだす。
めいこ「うひゃひゃひゃ!」
芥川「へー、くすぐり弱いんだー」
めいこ「ちょっともー!邪魔しないで下さい!それ終わらないと帰れないですよ!」
芥川「やだCー」
めいこ「もーしょうがないですね、めいこさんのとっておきのお楽しみを教えてあげますから」
芥川「えー、なになにー」