第17章 恐怖か恋のドキドキか(忍足/跡部)
めいこ「なんなんだ、今日は、モテ日か?!」
玄関で靴を脱ぎながら、朝からの出来事を思い出す。
めいこ「っていうか送り狼って何だ?」
帰ってきてから、忍足に言われた通り全部屋の電気をつけ、テレビをつけ、音楽をつけている。
幾分気は紛れたものの、さすがにこんなドンチャン騒ぎのような中ではなかなか寝付けない。
仕方なく全ての音量を少し下げ、寝る部屋を薄暗くしてから布団に入った。
チッチッチッチ...
こいう時に限って、妙に時計の秒針が耳につく。
チッチッチコチッコチッコチッ...
同じ音をずっと聞いていると、他の音に変化したような錯覚に陥る。
そんな些細なことでも不安になり、なかなか寝れない自分にも不安になる。
めいこ「はぁ」
なんだか無性に部長の声が聞きたくなった。
でも、きっともう寝ただろうし、何より今かけたら非常識だ。
めいこは枕元で充電してある携帯を見つめた。
とその時、玄関の方からガタガタ!と大きな音が聞こえ、心臓が跳ねた。
え、なに、やだ、鍵は締めたはずだよね?!
お化けも怖いけどリアル人間も怖いっつーの!!
布団を握りしめると、勢い余って部長に電話をかけてしまった。
プルルル...
めいこ「だーっ!何やってんのあたしアホ!」
コール音を聞くと、ハタと我に返り速攻で切った。
すると、近くの窓ガラスがガタガタ、ヒュウヒュウヒュウと鳴っているのを聞いて、さっきの音も強い風が吹いたせいなんだと理解した。
って脳は理解しても早い鼓動が鳴り止まねぇ!
ああ、また1切りしちゃったよ...。
どう言い訳しよう...枕元に置いてたら間違えてかけちゃったとか?
念の為にそぉっと玄関のドアを見に行くと、ちゃんと鍵がかかっていた。
よし、問題ない。
が、怖かったのでチェーンもかけ、走って布団に滑り込んだ。
携帯をお守りのようにギュッと握っていると、呪いの着信音が鳴った。
めいこ「うぎゃーなんじゃー!」
桃城君がイタズラしてから設定し直すのを忘れていただけである。
携帯をぶん投げそうになるのをギリギリで堪えると、折返しという表示が出ていた。
めいこ「...ヤッベー...」
実際きてみると嬉しいどころか、サッと肝が冷えたような感じだ。
部長って、早寝早起きの規則正しい生活な気がする。