第17章 恐怖か恋のドキドキか(忍足/跡部)
忍足「こらこら、何やそのジト目ー」
めいこ達が本屋で買い物を終える頃には、空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
忍足「ほな、俺はこっからバスで帰るわ」
忍足は本屋の直ぐ近くにあったバス停を指差している。
めいこ「あ、そうなんですね」
先程、日吉としていた会話のやり取りで、勝手に駅まで送ってもらえると解釈しためいこは、軽い拍子抜けだ。
忍足「もうこの混んでる時間で何度も乗り換えすんの嫌やねん。少し遅うなるけどバス1本でのんびり帰るわ」
めいこ「なるほど。うーん、私は全然違うとこ行っちゃうからやっぱ電車ですね」
忍足「駅までの道は分かるんか?」
めいこ「はい、多分大丈夫です!えっとー、元来た道を途中まで戻れば、確か朝通った道だったハズですし」
忍足「そうか、なら気をつけて帰り。今日はありがとうな」
めいこ「いえこちらこそ!ありがとうございました!では!」
めいこはシュバッと敬礼して、後ろにグルッと体を向けた。
しかし数歩のところで足が止まる。
そう、その帰り道は先程とは打って変わって真っ暗だ。
坂道の上に、ポツンと1つ街灯があるだけ。
しかもLEDじゃないからぜんっぜん明るくもなければ、妙にぼやっと照らされた周りは不気味な黄緑色。
道の両端は大きな木がザワザワと揺れていて、めいこはあることを思い出した。
あーーーそうだーーー、小学校通ってきたんだったーーー。
おまけに駅は、この坂を登りきったところにある、小さなドアがついた壁を通らなければ行けない。
ホラー映画をみた後にこんな道の誰もいない小学校とか通れるわけがない!
くそう!
そもそもこれは滝様が使ったG●●gle近道検索!
くそう!!
めいこは動悸息切れ目眩のせいで、思考が変な方向に行こうとしている。
めいこ「あああああ彼氏ほしいいいいい!」
これほど彼氏願望を願ったことはない。
ピッタリ手をつないで側にいて欲しい。
ほんとそれだけでいい。
こう、願わくば見上げるとフッと笑って、泣きぼくろがチャーミングで...ってオイ!
それぶちょー!
落ち着けあたい!
頭をブンブンと振って思考を絶つと、帰り道とは真逆の方向に全力疾走した。
といっても数歩だが。