第17章 恐怖か恋のドキドキか(忍足/跡部)
跡部はめいこに何か言いかけたが、そのまま言葉を飲み込み、車をださせた。
忍足とめいこは本屋に着くと、集合時間を決めて、それまで各自見て回る事にした。
めいこは朝読み終えた恋愛小説の続きを買おうと、あたりを見渡す。
本棚の上部に「小説」と書かれた看板をみつけると、さっそく探し始めた。
めいこ「あ」
目的のそれは、特に今年出たとか、今話題というのでは無かったので、かなり上部の方にあった。
これはどう見ても届かない。
しかし!こういう時のための椅子が、大きい本屋さんにはあるのだ。
って思ったけど、斜め後ろのおじさんが丁度使ってるやないかーいっ!
しかも登ったまま読みふけってるし。
うーんまぁ、あれ無くても背伸びすれば届くかもだし?
と、背伸びしてみたが、これ以上足をピンとするとツルような気がして躊躇する。
さっき軽い熱中症だったのもあってか、やはりずっと上を向いているとなんだかクラクラする。
でもやっと何とか届いた!
背表紙の下をしっかり掴み、引き出そうとしてみるが、びくともしない。
ギチギチに入り過ぎてて取り出せない本屋、あるよね!
だめだ、結構腕も疲れてきた、なんか恥ずかしい!
汗も出てきた!
ああもう、こういう時ってあれでしょ?
少女漫画だとイケメンが後ろから本を取ってくれるんでしょ?!
なんて脳内で叫んでたら変な浮遊感が起きて、いよいよ駄目だーと思ったら、何とあたしは誰かに持ち上げられているようだった。
めいこ「わっ?!」
なんか両脇を抱えて持ち上げられている!!
忍足「取れる?」
めいこ「....」
突然子供扱いされたような気分になり、顔を真っ赤にしながら目的のものを引っ張り出す。
それから直ぐにストンと下ろしてもらった。
めいこ「...あ、あざーす」
忍足「かまへんで、丁度俺もここに用事あったしなぁ」
めいこ「でもなんかちょっと違った」
背を向いたまま、ボソッと小さな不満を漏らした。
忍足「なんやて?」
少し首を傾げた忍足だったが、「あぁ」と笑うと、めいこの顔横に手をついて前のめりになった。
めいこ「んっ?!」
めいこは顔の横にきた、忍足の手を凝視した。
えっと?
これ世にいう壁ドン?!
..いや、本棚ドン?!