第16章 【番外】進路願望はKC!(海馬/跡部)
めいこ「や、まって...」
それでも抵抗しようと思い切り身を引くと、後頭部を壁にぶつけた。
ゴォオオン!
めいこ「あいたーっ!!」
頭をさすってみるが、痛くない。
あたりを見渡すと、海馬も居なければスーツの跡部もいないし、給湯室でもなかった。
さっきまでいた教室だ。
どうやら自分は居眠りをして椅子から転げ落ちたらしい。
後頭部を打ったのは夢だったようだが、代わりに左腕が少し痛い。
なんだぁ、いいところだったような気がするんだけど...。
夕焼け色になった窓からフワッと風が吹いて、白紙のままの進路用紙が目の前に落ちてきた。
なんだかいきなり、すごく寂しくなった。
めいこ「ぶちょぉお」
なんてこった、あたしらしくもない。
跡部「部長っつーのは夢で日吉でも出たのか?それとも俺か?」
めいこ「はっ?!」
振り向くと、教室のベランダに高校の制服を着た跡部が立っていた。
跡部「しかしえらい落ち方してたな、大丈夫か?」
風になびく前髪をかきあげながら、ククッと笑っている。
めいこ「なん、で?」
跡部「遊びに来ちゃ悪ぃか」
めいこ「いや、そういう、訳じゃ..」
跡部「めいこ、腕見せてみろ」
柵によっかかりながら、手を差し出される。
めいこはフラフラと跡部に近づき、ぎゅっと抱きついた。
跡部「どうした、やけに積極的じゃねーの」
頭を撫でられながら、腕を確認される。
跡部「少し赤くなったな」
めいこ「...何で来るって連絡くれなかったんすか」
跡部に顔を埋めたまま、くぐもった声で答える。
跡部「悪い、言わない方がお前の反応が面白いからな」
めいこ「なんじゃそりゃ!」
思い切り上を向くと、楽しそうな顔をした跡部がいる。
左頬を手で包まれ、無意識に擦り寄せてしまった。
跡部「何だ今の、かわいいな」
跡部がゆっくり近づいてきて、唇が重なった。
長い長い、触れるだけのキス。
夢の続きをみているようだった。
めいこ「ぶちょー、進路希望決まんないよー」
跡部「雰囲気ブチ壊しだな」
__【第16章 【番外】進路願望はKC!(海馬/跡部)END】__