第15章 【番外】思わぬお年玉(仁王/跡部)
その車はすごい斜めで止まったまま、後部座席から誰かが降りてきた。
カラーワイシャツで少しラフな格好の青年は、顔を赤くさせてぶっきらぼうに言う。
跡部「おまえら早く乗れ」
めいこ「ぶちょー!?」
跡部「いーから乗れ」
仁王「ククッ」
跡部「お前は後で色々覚えておけ」
仁王「ピヨ」
このままでは交通渋滞になってしまうので、言われるままに仁王と車に乗り込む。
めいこ「おじゃましま...ってコタツがあるぅう?!」
仁王「おー」
車内は和装になっており、真ん中にはなんと掘り炬燵がついていた。
跡部「どうだ、気に入ったか」
めいこ「え?すご!えっ?!」
自信満々の跡部から、めいこ、仁王の順で細長いコタツに入る。
めいこ「あったかぁあい」
跡部「前に正月はコタツでぬくぬくしてぇつってたろ」
めいこ「ぶ、ぶちょぉお〜!」
跡部「めいこ」
仁王「オーイお2人さん俺もいるんじゃけど」
今にも手と手を取り合いそうな雰囲気だったので、上着を脱ぎながらすかさずツッコミを入れる仁王。
めいこ「ハッ!すいません!あえっと、ぶちょーはどうしてあたしの場所が分かったんですか?」
跡部「携帯のGPSだ」
めいこ「ぁあ!」
めいこは手のひらをポンッと拳で叩いた。
仁王「納得するんか」
跡部「丁度コレを見せるのに自宅に向かっていたしな」
めいこ「だ、だから無理して通ろうと...」
仁王「なんじゃ、結構拘束するタイプのようじゃの」
跡部「あーん?極度の方向音痴に対する当然の対処だろーが」
めいこ「うぐ」
仁王「それもそうじゃな」
めいこ「うぐう」
コタツの真ん中にはみかんがおいてあり、めいこはおもむろに剥き始めた。
仁王は横においてあったテレビのリモコンを操作して、お正月番組を見ている。
跡部はめいこの肩に腕を回し、優雅に緑茶を飲んでいた。
めいこ「まさかリムジンでこんなお正月迎えられるなんて。幸せなお年玉だー、ぶちょーありがとう」
跡部は優しく微笑むと、めいこの頭を撫でた。
めいこ「うわみかん甘ーっ!仁王先輩これ甘い!」
仁王「どれ...おぉうまいのぉ」