第15章 【番外】思わぬお年玉(仁王/跡部)
その横では、ジャラジャララララ!という音とともに、物凄い量の小銭が納められていた。
めいこ「えっ?!」
先輩ポーチひっくり返してすっごい入れてるー!
そんな仁王を横目に参拝も終わり、横で湯気巻いている甘酒をもらいに行く。
めいこ「あったかーい」
紙コップ越しに、さっきまで冷たかった両手がジーンと温まっていく。
仁王「やっぱこれじゃなー」
めいこ「ですねぇ」
甘くてトロリとしたものをチビチビと飲みながら、さっき見たことを思い出す。
めいこ「そういえば仁王先輩、すっごい気前よく小銭入れてましたね」
仁王「あぁ、あれはのぉ、1年間ためた5円玉ぜよ」
めいこ「ええっ?!何で?!」
仁王「んー、俺はテニスで詐欺師じゃろ。だからここで、その1年分の厄をはらうんじゃ」
めいこ「な、なるほどー」
仁王「というのは半分嘘で、単純に一気に入れるとスッとして気分がいいぜよ」
めいこ「なんだよもぉ!」
仁王「ククククッすまんすまん」
甘酒を飲み終えた2人は、お守りを選びに行く。
めいこ「先輩は、家族に何頼まれたんですか?」
仁王「俺は姉貴に御朱印頼まれたぜよ、観たい番組があるから行けないんじゃと」
めいこ「おお!今人気の御朱印ですね?!実は私も今年初めて頂こうと思ってまして」
仁王「なら丁度いいの、俺が2枚頼んじゃる」
めいこ「あ、待ってください!これは自分自身で頂いたほうがいいらしいですよ」
仁王「...じゃ、姉貴のは無しで俺自身のだけもらうかの」
めいこ「あっそっか、じゃあ...」
仁王「いい、姉貴にそう言っとくぜよ」
お互いに御朱印を書いていただき、それをまじまじと見る。
めいこ「おお!これが御朱印!ありがたい!」
仁王「こういうのもいいのぉ」
めいこ「初めて一人で来て、初めて御朱印もらって、初めてここで仁王先輩とあった記念の御朱印になりましたっ!」
笑顔で振り返っためいこに、仁王も少し微笑んだ。
仁王「お前さん、この後予定は?」
めいこ「特にないですけど...」
仁王「なら、もう少し一緒にいてもええかの」
そう言った仁王は、めいこの左手を掴むとそのまま自分のポケットに入れた。