第15章 【番外】思わぬお年玉(仁王/跡部)
暖かい日差しの中、1人初詣しようと昼近くに地元近所の神社に来ためいこ。
本当は友達と来る予定だったのだが、何やら大掃除で大量のホコリを吸ってしまったとかで、咳が止まらないらしい。
(咳で吐きそうって言ってた)
1日を外してきたし、昼近くということもあって人はそこまでいないようだ。
といっても、やっぱり正面からの参拝列は多少並ぶ。
冷たい水でお清めした手をこすり合わせ、甘酒の湯気と甘い匂いの中、のんびりと並ぶことにした。
あ、そういえば、納めようと思ってたお守り忘れた。
まいっか。
少しづつ進む列に合わせて前へ移動していると、背中をトントンと叩かれた。
え?もっと詰めろってこと?
なんて思って後ろを振り返ると、思わぬ人物と遭遇した。
めいこ「仁王先輩?!」
仁王「よー、奇遇じゃな」
黒のダッフルにニット帽、それに口元までマフラーを巻いて、背中を少し丸めている。
めいこ「あけましておめでとうございます」
仁王「おめでとう」
2人でペコリとお辞儀したあと、もしかして、と切り出す。
めいこ「先輩、近所なんですか?」
仁王「おー、そうじゃ、そういうお前さんもか?」
めいこ「そうなんですよー、いつもは家族と来るんですけど、今日一緒に行く予定だった友達が来れなくなっちゃって」
仁王「毎年来とるんか」
めいこ「はい、何かない限りだいたいは。来ないとなんかお正月向かえた気がしないんですよー」
仁王「律儀じゃのー、俺は頼まれない限り行かん、寒い」
めいこ「アハハハ!だからそんなに着込んでるんですね!今日暖かい方なのにー」
仁王「さっきまでコタツに入っとったから余計寒いんじゃ」
めいこ「えー!いいなぁ!コタツあるんだぁ」
仁王「今度入りに来るといいぜよ」
めいこ「やったぁ!.....あー、ぶちょーに怒られるかな」
仁王「言わなきゃいいじゃろ」
めいこ「ボロが出そう」
仁王「ハハッ!お前さん正直だからの」
2人で話をしていると、自分達の番になった。
学生なけなしのお金、10円2枚に、5円玉が1枚の、25円。
本当かどうかは分からないが、2重にご縁がありますように、という意味だと修学旅行のバスガイドさんから教えてもらったことだ。