第9章 肉を切らせて骨を断つ
わたしの元に戻ってきたサヘルくん。
きっちり四足歩行のまま、顔を羞恥と緊張に歪めている。
「せんせっ、紗都せんせえっ……!」
わたしは保健室のドアを開け、膝をついて出迎えた。
サヘルくんは、くたっと上半身をわたしの両膝に任す。
太ももに乗った頭を撫でる。
「よく頑張りましたね」
「紗都先生……」
「ここだと目立ちますから、中に入りましょう」
促すと、サヘルくんはよろよろと立ち上がる。
保健室に入ったわたし達は、並んでベッドに腰掛けた。
サヘルくんは首輪を着けたまま、もじもじとわたしを見ている。
「どうしたんですか、サヘルくん」
「え、あっ……」
サヘルくんは自分の制服の裾をぎゅっと掴み、小さく叫んだ。
「先生、ご褒美、くださいっ……」
わたしは頷く。
「いいですよ」
よしよし、とサヘルくんの頭を撫でた。
「あ、はァ……」
サヘルくんは目をとろんとさせ、口を半開く。