第9章 肉を切らせて骨を断つ
ぐしぐしと細い髪を撫で、耳元を優しく触る。
首筋を指で伝いながら、片手で頭頂部を撫で付ける。
「せんせっ、せんせえ……」
口端から涎を垂らしそうなほど、蕩けきった表情。
耳にふっと息を吹き掛けた。
「ゃあっ……!」
サヘルくんの表情がぞくぞくとしたものに移り変わる。
身体から力が抜けていった。
わたしは嘲笑しながらも、自分の中心が熱くなるのを感じた。
ベッドに体重を預け、サヘルくんを見つめる。
「このまま、首輪を着けたまま。色んなことしちゃいましょっか……?」
誘いかけると、サヘルくんの目が揺らめく。
「紗都先生ッ……!」
その時、微かな足音がした気がした。
わたしは耳を澄ます。
「待ってください……誰か、来てる」
「えッ……」
わたしは立ち上がり、ベッドから降りる。
「じっとしててくださいね」
サヘルくんに念押しし、ベッドに備え付けのカーテンを閉めた。