第9章 肉を切らせて骨を断つ
学園に戻り、施錠された保健室を開ける。
「紗都先生?お散歩するんじゃ」
「そうですよ、お散歩」
わたしは自分のデスクに行き、鍵のかかった引き出しを開ける。
中からちょっとした小道具を取り出した。
わたしの様子見をおずおずとしていたサヘルくんの前に出す。
サヘルくんは目を大きく開いた。
「そ、れ……」
わたしの手にした小道具に視線が釘漬けになる。
レザーの首輪とリードのセットだ。
サヘルくんの細い首に首輪をあてがう。
「ンっ……!」
首筋に首輪を回し、そっと括りつける。
指を突っ込んでくいくいと引っ張る。
「ん、ふっ……」
「苦しくないですか?」
「はい……ドキドキしま、す……」
丁度いいように長さを調節する。
首元から優しく手を離し、微笑んだ。
「可愛いですよ」
サヘルくんは頬を赤くし、ゆっくりと息をする。
制服姿に異様な首輪。
可愛らしい女顔の下に、一際目立っている。
背徳的な格好に、拐かされるようだ。
「ほんとですか……?ぼく、初めてだから……」
「ほんとです、可愛いし」
首輪の前部を掴み、リードを引っ掛ける。
たらりと垂れた長い紐を握り、微笑んだ。
「とってもにあってますよ、わんちゃん」
サヘルくんはふるりと身体を微動させ、か細い声を漏らす。
「あ……」
蕩けそうな目でわたしを見つめる姿に、 愛しさが増す。