第9章 肉を切らせて骨を断つ
「お散歩しません?」
サヘルくんはお散歩という可愛らしい響きに、拍子抜けした表情を浮かべる。
「お、お散歩ですか?」
わたしは微笑んで点頭く。
「ええ」
サヘルくんは表情をぱあっと明るくする。
前のめりに首を縦に振る。
「もちろん!一緒にお散歩したいです!」
わたしは微笑し、背を向けた。
「そうですか、じゃあ学園に戻りましょう」
返事を待たずに歩き出す。
サヘルくんが慌ててわたしを追う。
「え?お、お散歩するんじゃないんですか?」
「はい、校内を一緒に歩きませんか」
サヘルくんは横に並び、納得した様子で笑む。
「そっか、それもいいですね!ぼくなんて生徒なのにあんまり学園内をうろつかないし、紗都先生もまだ全部は知らないですよね……丁度いいかもしれませんねっ」
嬉しそうなサヘルくんに対し、わたしは意味を含ませた笑いで応えた。