• テキストサイズ

男子校の女王様。

第9章 肉を切らせて骨を断つ



仕事を終え、保健室を出る。

校門に人影が見えて驚いた。

サヘルくんが嬉しそうにこちらに手を振る。

わたしは驚き顔でサヘルくんの元に走る。

「ま、待ってたんですか?」

「紗都先生にお礼が言いたくて」

サヘルくんは弾けるような笑顔を見せる。

「ぼく、紗都先生に会ってから学校楽しいんです!優しいし、ぼくの話も聞いてくれるし、ぼくを心配してくれる」

目を輝かせるサヘルくん。

わたしはあまりの盲信っぷりにふうっとため息をついた。

眉間にぐっと皺が寄る。

「……わたし、そんなデキた先生じゃないですよ」

心の奥の本音を吐露する。

ちくりと込めた嫌味にも気が付かないのか、サヘルくんはわたしの言葉を否定する。

「そんなことありませんっ!紗都先生はすごく優しくて」

わたしは必死に訴えかけるサヘルくんの、

「もう忘れたんですか?」

片手を強く掴んだ。

サヘルくんは瞬発的にぎゅっと目を閉じた。

その顔を引き寄せ、笑う。

「また、あんなことされちゃいますよ」

「あ……」

「……いい先生いい先生、って言うのやめてください」

わたしの心に付き纏う影。

お人好しな保健室の先生、サディスティックな性癖の自分。

わたしは小さな声で、囁くように言った。

「イライラするんです」

吐き捨てて、帰ろうとした時。

サヘルくんの顔が目に止まった。

両目にじわあっと涙を浮かばせている。

わたしは立ち止まり、頭を掻いた。

そんなにわたしが理想の先生なんだろうか。

「納得、できませんか?」

サヘルくんは涙ながらにこくんと頷く。

「わたしのこと教えて欲しいなら、少し遊んであげましょうか」

「え……」
/ 575ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp