第37章 酒は詩を釣る色を釣る
丸木戸がマイクをオフにし、ヘッドセットを外す。
俺の方に顔を向け、笑顔を作った。
「ありがとうございます」
「ああ……」
俺は曖昧に返事をし、自分の席に腰を下ろす。
生徒たちの様子を思い返せば、口数も少なくなる。
どいつもこいつも丸木戸に骨抜きにされちまったらしく、休日にまで学園に飛んでくる。
丸木戸の命令にはどこまでも忠実で、そして、それ以上に興奮していやがった。
サヘルも永夢も聖も、嫌がる素振りを見せる所か喜悦にのたうってやがった。
俺の眉間に皺が寄る。
ふーっと息を吐いた。
俺はアイツらにも丸木戸にも、驚きも嫌悪もない。
それどころか。
嫉妬なのか羨望なのか、様々な感情と欲望がぐちゃぐちゃに混ざったそれで脳内が埋め尽くされている。