第37章 酒は詩を釣る色を釣る
火照った身体を持て余しながらも黙って突っ立っていると、
「っ、あ……!」
突然手首を掴まれた。
両方の手を後ろにまとめられ、ボンデージテープが巻き付けられていく。
テープが胸元、腹部、内腿、全身を這って、手の動きが制限される。
先程僕を部屋に入れた協力者がしていると思うと思うと何とも言えない気持ちになる。
加えて、何も見えない聞こえない状態で自分の身体に男の手が履い回っている現状に鳥肌が立つ。
やっぱり痴漢って最悪だな、と心の中で言いながらも体に力を入れて真っ直ぐに立つ。
上半身から下半身まできっちりと拘束され、歩くこともやっとな程だ。
それでも背後にいる紗都先生を思い起こせば、嫌悪感が興奮に変化していくようで、
「くっ……う……ッ」
裸体に拘束具が取り付けられると吐息混じりの短い嬌声が溢れる。
「はっ……はぁ……っ」
アイマスクに隠された目が潤んだ。
✱
【このまま口を開かないでくださいね……目も閉じたままですよ】
丸木戸がマイク越しに言い伝えるのとほとんど同時に、
「……全部終わったぞ」
俺は保健室のドアを開いた。