第37章 酒は詩を釣る色を釣る
同じようにして時雨先生に生徒が連れられてきた。
次に入ってきたのは永夢くん。
永夢くんもしっかりと目隠しとヘッドフォンを装着している。
不可思議そうな表情を見せながらも、サヘルくんの隣に並んだ。
最後に連れ込まれたのは聖くん。
無論聖くんも二人と同様に目と耳を覆っている。
聖くんは不服げに軽く顔を歪め、永夢くんの横に立った。
わたしはパソコンの脇に掛けたヘッドセットを手に取り、装着する。
マイクに口元を寄せるようにして、画面上の並び立った三人に語りかけた。
✱
【──お待たせしました】
ヘッドフォンから聴こえてきたのは紗都せんせいの声。
ボクの胸は高鳴り、身体がじわっと暖かくなる。
この前のことを思い返すと頬が緩む。
……紗都せんせいがボクにお願い事をしてくれるなんて。
『サヘルくんにお願いがあるんですけど……』
休日に学園に来て欲しいというそのお誘いに、ボクは一も二もなく頷いた。