第37章 酒は詩を釣る色を釣る
わたしはパソコンの画面を見つめる。
モニターに映っているのは、六畳程の広さのダンスレッスンルーム。
壁は全面鏡張りで、床は怪我防止のふわふわとした素材で覆われている。
狭いながらも整った造りの部屋に、見知った顔の二人が足を踏み入れた。
わたしは画面上の彼らを注視する。
ドアを開いた時雨先生と、その手に引かれるサヘルくん。
サヘルくんは不安げに時雨先生の手を握っている。
部屋の真ん中に移動させられ、サヘルくんは一人取り残される。
サヘルくんは所在なさげに俯くも、その視界は厚手の生地の目隠しで奪われている。
また、両耳も重厚なヘッドフォンで覆われていた。
わたしの支持通りの格好に、画面越しにほくそ笑む。
続けざまにドアが開いた。