第6章 魚心あれば水心
納得し、サヘルくんの方を見る。
行儀よく椅子に座り、熱心に勉強をしている。
微笑ましい気持ちで呟く。
「へえ、可愛い子ですねえ」
「まあ、お前に手ー出すようなオスガキに比べたらそうだろうな」
わたしはうんうんと頷き、
「そうですねえ……」
ん!?、と顔色を変えた。
血相を変えて言い返す。
「ってなんてこと言うんですか!?かっ可愛いですよ!永夢くんも!」
「へー……」
「聖くんも!」
その時、大きな音がした。
音の方を向くと、サヘルくんの周囲の床に勉強道具が乱雑に散らばっている。
どうやら机から落としてしまったようだ。
「あ、ご、ごめんなさい、今、拾います、ごめんなさい」
わたわたとするサヘルくんの元に駆け寄る。
わたしは笑顔で腰を下ろし、荷物を拾い集める。
「いいよいいよ!それよりごめんね、大きな声出したりして」
苦笑すると、サヘルくんは顔を曇らせた。
「……いえ、そうじゃ、なくて……」
「え?」
「いっ、いえ!なんでも、ないです……」
少し内向的な子なのかな。