第36章 子の心親知らず
仕事帰りにスーパーに立ち寄ると、見覚えのある少年を見つけた。
少し大きめな冴舞の制服を着た華奢な後ろ姿。
彼の周りに小さな子供たちが侍るように群がっているのに、多少面食らったものの
「サヘルくん」
後ろから笑顔で声をかけた。
サヘルくんが振り返り、恥ずかしそうに頭を下げる。
「へ……あっ、紗都せんせい!こ、こんばんは……」
周りにいた子供たちも不思議そうに首を傾げたり、サヘルくんの後ろに照れ臭そうに隠れたり。
「こんにちはぁ」
にぱっと笑って挨拶をしたり、
「だれ〜?」
わたしの顔を指さしまじまじと見つめたり、多種多様な反応を見せる。
わたしは初めまして、と笑顔で言って目線を合わせた。