第35章 商人の嘘は神もお許し
「もう、分かりますよね」
わたしはベッドに腰を下ろしたまま、時雨先生に顔をやった。
マットをポンポンと叩く。
「時雨先生、こっちに来て見せてあげてくれませんか」
時雨先生は臆したようにこちらに近づき、そろりとベッドの上に乗る。
膝立ちになり、視線を横に逸らす。
「う……」
躊躇いがちに喉を突き出して見せた。
時雨先生の喉仏が浮いた首筋を細い革製のチョーカーが一周している。
チョーカーにくっついた鈴が揺れ、ちりんと微かな音を立てた。
「わたしが選んであげたんです、可愛いですよね」
永夢くんは口をきゅっと結ぶも、吐息は荒く音を漏らしている。