第35章 商人の嘘は神もお許し
「……それ、わたしの連絡先です」
「あ……ありがと」
「今日は本当に暇じゃないので……これで失礼しますね。でも、気軽に連絡してください」
永夢くんに頭を下げ、
「これからお互いのこと、知って行けたらいいですね」
家に向かって歩き始めた。
顔が綻ぶのが分かる。
予期せず遊び道具が増えたのかもしれない、と両目を細めた。
✱
「狭間先生、さようなら」
「バイバーイ」
「あー……気をつけて帰れよ」
声をかけると、キャーキャーと黄色い声をあげて女生徒達が廊下を駆け抜けていく。
保健室に向かって歩く。
すれ違う生徒達が、俺を見て多種多様な反応をする事にふと気がついた。
顔をほんのり赤らめ目を背ける奴、人目を気にし恥ずかしそうに手を振る奴もいれば、僅かに怒りを持った目を向けてくる奴。
女教師も、それぞれ様々な感情を持った目で俺を見る。
単純に男が俺と斗真しかいないから物珍しいという理由だけではく。
俺の持て余した暇と性欲の捌け口に使われた事をどう捉えているか、に準じるんだと思う。