第35章 商人の嘘は神もお許し
「オレ神崎永夢。君は?」
わたしはふーっとため息をつくも、永夢くん、に自分の名前を名乗った。
「……丸木戸紗都、です」
「これで見ず知らずじゃないよね!紗都ちゃんって名前も可愛いね〜」
わたしは苦笑いし、永夢くんにとりあえず釘を刺す。
「わたし、付き合ってる人いるので」
「あ〜そっか、残念だなあ〜。……彼氏と上手くいってなかったりしない?どう?聞かせてよ〜」
「彼氏じゃないです」
「へ?」
永夢くんが間の抜けた声を洩らす。
「あ、彼氏じゃなくて彼女、とかそういう……」
わたしは首を横に振る。
永夢くんの目をじっと見つめた。
「いえ、男性ですけどね……わたしの遊びに付き合って貰ってるんですよ、だから付き合ってる人」
永夢くんは困惑したように目線を泳がせる。
「……えっ、と……」
「スマホ、出してください」
「え、あっ、うん!」
永夢くんはビクッと飛び上がり、急いでスマホを取り出した。
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