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男子校の女王様。

第35章 商人の嘘は神もお許し


「じゃあねー、紗都」

「またね〜」

校門前でみんなと別れる。

「は〜……部活ダル〜い」

「ばいばーい」

わたしも笑って手を振った。

「はい、また明日」

いそいそと帰ろうとした時、

「すみませーん、道聞きたいんですけど、教えて貰えませんか?」

声を掛けられた。

厳密にはわたしに掛けられたのではなかったのかもしれないが、思わず振り返る。

そこには恐らく同い年くらいであろう男の子が制服姿で立っていた。

明るい金髪と両耳に複数着いたピアスが特徴的な人懐っこそうな顔の男子学生。

目が合うとにこっと会釈を返されたので、彼の元に向かう。

「あ、はい、どこですか?」

前に経つと、彼は楽しそうに距離を詰め、

「冴舞学園って所なんですけど〜」

わたしは口を噤んだ。

ニコニコと嬉しそうにしている姿に眉を寄せる。

そもそも校門には冴舞学園、と書かれているのに。

今日は急いで帰りたいのに、とうんざりしながらも答える。

「……ここ、ですけど」

明らかにテンションが下がるわたしを気にすることなく、彼はなつっこく笑った。
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