第35章 商人の嘘は神もお許し
放課後のチャイムが鳴り、わたし達は各々が好きなように散らばっていく。
部活動に向かう女子、居残り勉強をする女子、おしゃべりをする女子、買い食いをする女子……。
冴舞学園は女子校の名門校だが、校風は自由で、それに伴うかのように放課後の過ごし方も様々だ。
わたしは今日は真っ直ぐ帰る女子、と心の中で独りごちる。
そろそろ家に着くだろうか。
ふふっと浮かれていると、女友達から背中をつつかれた。
「わっ!」
「何ニヤニヤしてんのよ〜」
呆れたように言われ、わたしは照れ笑いする。
「えへへ、今日頼んでた玩具が届くから……」
「おもちゃあ?」
笑顔で頷くと、みんなは肩をすくめる。
「紗都何歳?紗都ってそういうとこあるよね〜」
「おもちゃって、紗都ちゃんそれ自分用だよね?何買ったの?」
わたしはみんなに問い詰められながらも、
「……内緒」
微笑みを絶やさずにそう言った。
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