第34章 金を掴む者は人を見ず
そして、固まる聖くんに苦笑した。
「それに、聖くんはそういうキャラじゃないかと……」
聖くんは一瞬呆然とし、
「……キャラってなんだよ、痴漢くらい止めるに決まってるだろ!ああ、そもそも僕は善意でやってる訳じゃない、僕の前でそんなことやられたら目障りなんだ。気色悪くて見るに堪えないからな、そうだよ、僕の為にやったんだよ、第一僕は」
破竹の勢いで喋り倒し始めた。
わたしも呆気に取られていたが、ハッとする。
慌てて頭を下げた。
「で、ですね、今のは失言でした、ごめんなさい……聖くん凄く勇敢なんですね!被害者の方もとても助かったと思います!ほんとに偉かったですね」
「…………」
「……聖くん?」
怒涛の如く喋り続けていたが、ピタッと黙り込んでしまった。
口を引き結んだまま、仁王立ちで動かない。
怒ってる、と、わたしは青ざめた。
必死に聖くんを宥めるも、
「き、機嫌治してくださいよ、わたしが悪かったですから……早とちりをした上に、失礼な勘違いをしてしまって……」
「…………」
「聖くーん……」
まさに取り付く島もない。
とんでもない長丁場になりそうで、頭を抱えた。