第34章 金を掴む者は人を見ず
「……一言、いいか?」
「え、なんですか?」
聖くんを振り返ると、気まずそうに口を開いた。
「その、多分……勘違いしてると思って」
「勘違い?」
わたしが小首を傾げると、聖くんはボソボソと呟いた。
「僕は痴漢の被害者じゃないからな。僕は女性が被害にあってたから痴漢を止めたんだよ」
「え……えええええっ!?」
大袈裟な程に声を上げると、聖くんも声を張る。
「なんでそんなに驚くんだよ!そもそも僕は男だ」
わたしは言い返す。
「そんなこと関係ないですよ!男の子でも危険です、聖くんは可愛いですし……」
「可愛っ……」