第33章 水に燃え立つ蛍
永夢くんは困り顔で笑い、人懐っこい笑みをこちらに向けた。
「でもまあ、割となんでもできるっていうか、苦手なことはあんまないってだけ」
爽やかに言い放つ永夢くん。
わたしは永夢くんの肩に手を置き、わしゃわしゃと揉む。
「それが羨ましいって言ってるんですよー」
永夢くんはわたしの言葉に笑顔を保ったまま、眉を下げた。
「ん~……でもさ、だからオレ我慢も苦手だし、思い通りにいかないのも慣れてないんだよね」
「…………」
予期せぬ返事に黙っていると、更に言葉を続ける。
「我慢強くなりたいなあ、余裕持ちたいなあって、すっごい思う」
「そうですか……、そんなに我慢ができるようになりたいんですか」
「うん、そうだね~……最近の悩みかなあ」
永夢くんはぼんやりと言葉を吐く。
わたしは考え込む様子の永夢くんを見つめ、
「それ、本気ですか?」
優しく問いかけた。
永夢くんの目が見開き、うっすらと頬が赤くなる。