第33章 水に燃え立つ蛍
永夢くんは両掌を大きく広げ、ニコニコしてわたしを待っている。
「そんな気がしてましたよ」
わたしは椅子から立ちあがる。
永夢くんの横に、ソファの端っこにそっと腰を下ろした。
明るい金色の髪が当然のようにわたしの膝の上に乗っかり、
「へへ」
わたしはくすぐったそうに笑う永夢くんの顔を見下ろした。
わたしも微笑み、優しく触れる。
セットされた髪を崩さないように、こめかみ辺りを指先で撫で擦る。
永夢くん本人は気にしていないのか、わたしにしっかりと頭を預け、気の抜けた笑顔で応える。
「よく頑張りましたねえ」
「うん!オレめっちゃ頑張ったよ~」