第32章 妬みはその身の仇
「丸木戸、これ……っ!」
わたしは時雨先生の視線を一笑に附し、
「そんなに怒らないでくださいよ」
細い顎の下に手をやった。
「んっ!」
身動きできない時雨先生の顔を若干乱暴に持ち上げ、瞳をじっと見つめる。
「……時雨先生、わたしたちの間に隠し事はなしにしましょうよ、ね?」
時雨先生は表情をぞくっと強張らせ、怖じたように目線を逸らす。
わたしは笑みを携えたまま、時雨先生の肌に手のひら全体をゆっくりと押し付けた。
顎のラインに指を這わせ、顔周辺の薄い皮膚を指先で這いまわる。
「ふッあ、あぁッ……」
時雨先生はむず痒い感覚に身を逸らし、椅子を軋ませる。
時雨先生の頬、喉、耳の付け根、と敏感な箇所を指先で擦り、爪で辿る。
「は……っぁ」
つまむように、擦るように、全体を撫でまわす。
時雨先生の青みがかる程白い肌が色を持ち、うっすらと紅潮していく。
思うようにならない四肢を揺らし、
「っふ……ふうッ……」
息を荒くした。