第32章 妬みはその身の仇
時雨先生が薄目を開いた。
まだ微睡んだ目でこちらを見ている。
気が付いたわたしは時雨先生に笑顔を返した。
「おはようございます、よく寝てましたね」
「はよ、って……えっ……」
時雨先生は一驚し、目を見張った。
「んっ、なんだ、これ……」
時雨先生の両手両足は身動きできないように椅子に拘束具で固定されている。
「は……?」
時雨先生は戸惑ったように身動ぎする。
両腕が背もたれの後ろに回され、手首を後頭部の上でまとめて拘束されているために器具を外せない。
両膝は肘掛の上に置かれ、固定されている。
必然的に脚は強制的に大きく開いた姿勢のまま、閉じられない。
時雨先生は完璧に目を覚まし、困惑と動揺を顕わにわたしをきっと見つめる。