第32章 妬みはその身の仇
わたしは黙りこくる時雨先生に微笑んだ。
そのままぽつぽつと呟く。
「もちろん、今後は斗真先生のことを一層尊重したいと思いますよ……時雨先生のためにも、わたしは反省して、真摯に向き合おうと」
「待って、何の話?」
時雨先生を見返すと、ぎょっとした顔で固まっている。
「え、親友をわたしに取られた怒りがあるんじゃないかと」
「……よくそんな発想になるな……怖いんだけど……」
わたしは小首を傾げ、しかめっ面の時雨先生に尋ねる。
「違うんですか?」
「ちげえよ!いや、そういう発想の奴もいるんだろうけど……俺は違うから、断じて、俺のもの、とかない、絶対にない」
時雨先生は真に迫った形相で否定する。
わたしは苦笑いして頷いた。