• テキストサイズ

男子校の女王様。

第31章 猫に鰹節


『やべえ、やっちまった……』

時雨は煙草とライターから手を離し、おれに目線を戻す。

『悪ぃ、大丈夫か』

おれは首を左右し、苦笑いする。

『あー、いい!おれが悪い、時雨、タオルある?』

『ん』

『サンキュ』

時雨に手渡されたタオルで濡れた服を拭く。

時雨はそんなおれの様子を眺める。

『……お前着替え持ってんの?ないなら貸すけど』

おれは時雨の問いかけに固まる。

確かにこの状態だと、着替えるのは必須だろう。

おれは時雨に見えるようにスポーツバッグを持ち上げる。

『い、いや、おれも替えのジャージ持ってるから大丈夫だけど……』

『そうか』

『ああ……』

時雨は黙って椅子に座っている。

おれは時雨に話しかけた。

『あ、そのっ、じゃあ時雨、出てってくれるか……』

『……は?』

『……着替えるから……』

『…………』

時雨の表情が不快そうに大きく歪んだ。
/ 575ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp