第31章 猫に鰹節
斗真先生が顔を真っ赤にして、ぱくぱくと口を開く。
「っ、と、あ、あの……!」
そのまま固まったわたしに詰め寄る。
「違、違うんすよっ……!ほんと、これは……!」
斗真先生は涙目でわたしに懸命に訴えかけている。
わたしはハッとし、目線を横に逸らした。
「い……いえ、あの、わたしは別に他人様の性癖にあーだこーだ言える、立場じゃないので……」
「全然違いますってえ!ととととにかくおれの話を聞いて下さいっ!お願いします!」
✱
『失礼しまーす……』
おれは保健室に入るなり、辺りをキョロキョロと見回す。
どうやら斗真先生一人っきりのようだ。
パソコンに向き合っていた時雨がこちらに目線を向ける。
『……丸木戸ならいないけど』
時雨の発言にビクッと肩が跳ねた。