第5章 逢うは別れの始め
広々とした体育館の奥の体育館倉庫。
埃っぽさなんて少しもなく、むしろ充実した用具類に舌を巻くばかりだった。
わたし達は二人で手分けして荷物を搬入し、一息ついた。
わたしは斗真先生の顔を振り返る。
「それじゃ、帰りましょっか」
斗真先生は黙ってその場に立ち竦んでいる。
わたしは首を傾げた。
「斗真先生?」
「丸木戸先生、は……」
斗真先生は耐えかねたように叫んだ。
「時雨と!付き合ってるんすか!」
「うええええッ!?な、なんですか!はい!?」
心当たりは、ある。
わたしが動揺を露にしていると、斗真先生は短く言葉を切った。
「だって時雨と保健室でいかがわしいことを……っ!」
心当たりにぶち当たった。
返す言葉もない。
「え、ぁ……あ、あわ……」
斗真先生は悔しそうに呟く。
「時雨は結構前から悪い噂もあって、なんていうか、女の先生を盗撮して脅したとか、時雨を好きになった人を人とも思ってないみたいな扱いをしたとか……」
わたしはそこで顔を顰めた。
随分と話が違う。
というか、そもそも時雨先生からそんな話聞いてない。