第27章 寝耳に水
「何だよ、僕が何か間違ってるか?僕を脅してるだろ」
聖くんはわたしから距離を取られたことに眉を寄せ、更に間を詰める。
「ま、待ってくださッ、ちょっともうっ、どっちが脅されてるのか……!」
わたしの腰が壁にくっつく。
「うえぇッ……!」
「もう僕らは運命共同体みたいになってるんだよ、どっちがどっちの秘密を漏らしても僕も先生も破滅だ」
聖くんが歯を見せる。
「……だから……」
わたしはごくっと唾を飲んだ。
「だ、だから……?」
「…………」
聖くんの顔が染まり、口を結んだ。
わたしは暫く聖くんの言葉を待ち、ある考えに行き着いた。
「も……もしかして、誘ってます……?」
聖くんが視線を逸らす。
ぼそっと呟いた。
「別にたまには僕から仕掛けても悪くないだろ……」
わたしはゆっくりと笑顔を作る。
「じゃあ、有難くお誘いに乗りましょっか」
✱
保健室の備品からガーゼを拝借する。
使い捨ての膿盆に私物のローションをとくとくと注ぎ、その中にガーゼを浸した。