第26章 三十六計逃げるに如かず
斗真先生はぼーっと呆けた顔で肯いた。
「……お馬さんごっこ?馬役の人に乗っかる奴っすよね……丸木戸先生ほんと可愛いですねぇ……」
斗真先生はすぐさま四つん這いになる。
ぱっと顔を上げた。
「どうぞ、丸木戸先せ」
わたしは無言で斗真先生に鋭く鞭を振った。
肌に皮がぶつかる甲高い音がして、
「おッ……!」
斗真先生が床に崩れ落ちる。
身体を庇い荒っぽい吐息をあげて、痛みに喘ぐ。
……脳天にビリビリくる。
わたしは斗真先生の前に立ち、顎の下に鞭を差し込んだ。
「うっ、っぐ……!ぁ!はぁッ……」
斗真先生の目線を無理矢理上げさせ、にこっと微笑む。
「お馬さんが服着てるのは可笑しいでしょ?」
斗真先生の目が潤む。
こくっこくっと首を縦に振る。
「あッ……ぉ、ぞ、ぞうっ、です……」
斗真先生は急いで立ち上がった。
少しよろめいて、熱っぽい吐息を零す。
身にまとっていた服を脱ぐと、引き締まった身体が顕になる。
わたしの視線に、斗真先生は目を伏せる。