第26章 三十六計逃げるに如かず
二次会の誘いを断り、二人で逃げてきたのは良いものの。
「アイツら、ぜってぇ丸木戸先生を潰すつもりれしたよ……ふざけんなぁ……」
赤ら顔でくだを巻く斗真先生。
「それは本当にありがとうございます、でも斗真先生が潰れてどうするんですか。ほらもう大丈夫ですか?」
わたしは手を差し伸べる。
「立てます?」
斗真先生は瞬きして、
「……へへ……可〜愛い……」
ふにゃっと笑った。
わたしは顔を顰める。
ダメだ、話にならない。
完璧に出来上がっている。
わたしは携帯電話を取り出す。
わたし達の共通の知り合いで、手伝ってくれそうな人。
斗真先生はキョトンと首を傾げた。
「……どこに電話掛けてるんすかぁ?」
「時雨先生ですよー」
「へ?なんでっすか?」
「斗真先生を迎えに来て貰うんですよ、わたしの手に負えないっぽいので……今日お休みですし、申し訳ないんですけど」
斗真先生はわたしの声にぽかんと耳を傾けている。
唐突にひくっとしゃくりあげた。