第4章 毒を食らわば皿まで
「時雨先生、ベッドに座って下さい」
時雨先生は微睡んだ目でわたしを見つめ、従順に指示に従う。
複雑な表情をして、ベッドの脇に腰掛けた。
わたしはベッドに座り込み、時雨先生の背に寄り添った。
女座りでぺたりと脚を広げ、両腕を時雨先生の手に回す。
胸板にそっと触れた。
時雨先生がぴくんと身体を動かす。
「っ、あ……」
吐息を漏らし、身動ぎをしながら、懸命に耐える。
手に伝わるがっしりした感触に戸惑いながらも、すべすべと手先を動かす。
手のひらを肌に押し付けるように、ゆっくりと。
「ぅ、はぁッ……ぁ」
時雨先生はそれだけでぴくんと跳ね、虚ろな目付きでわたしを見た。
時雨先生の心臓がどくんどくんと跳ねている。
「丸木戸……丸木戸……っ」
上気した頬に、半開いた口元。
はあはあと切なげに吐息を零しながら、わたしの名前を必死に読んで。
可愛くない目付きで、一生懸命わたしを見入るから。
「かわ、いい……」
わたしは首筋にちゅっと唇を落とした。
「ふあッ!」
ぷにっとした唇の感触に、時雨先生が上半身を大きくビクつかせる。
身悶えする時雨先生の首筋を噛むように吸い付く。
口を離すと、白い肌に赤茶けた鬱血痕が痛々しく痕になっていた。