第1章 鬼が出るか蛇が出るか
そこには、みるからに不健康そうなルックスの白衣姿の男性が立っていた。
くわえタバコで、濁った目でこちらを睨むように見ている。
斗真先生は呆れ顔で一歩前に出、彼を諌めた。
「おい、時雨……学内でタバコは吸うなって言ってるだろ。学園長にドヤされるぞ」
「いっつも外で吸ってんだろ……」
「校庭は学内だ!」
わたしは言い争う二人をぽかんと見つめる。
それに気がついた斗真先生が、照れ臭そうに頭を掻いた。
「えっと、コイツが保健医の挾間時雨。こんな感じだけど、根はいい奴……って言っていいのか、お前は……」
紹介をされながらも、時雨先生はつまらなさそうに虚空を見ている。
よっぽど手持ち無沙汰なのか、片手で百円ライターを放り投げているおまけ付きだ。
これは今までの養護教諭さんキツかっただろうなあ……。
何となく、謎が解けた気がする。
苦笑していると、予鈴が鳴った。
斗真先生は飛び上がり、駆け出していく。
「うわ!そんじゃ、二人とも!また!時雨、ちゃんとやれよ!」
慌ただしく去っていった斗真先生。