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男子校の女王様。

第1章 鬼が出るか蛇が出るか




「それじゃあ、行きましょうか」

わたしに笑いかける男性。

わたしは頷き、彼と一緒に歩き始めた。

横目で彼の姿を窺う。

高い身長に筋肉質な身体、短めの髪。

彼は保健室までの案内を申し出てくれた、体育教師の坂見斗真先生だ。

爽やか笑顔に明るい語り口まで兼ね備えている。

これが共学なら、あるいは女子校なら、物凄いことになっているんだろう……。

いや、男子校でも憧れの的なのかも。

邪な妄想をしつつ、わたしは適当な話を切り出した。

「それにしても、凄く立派な学校ですよね!」

「そうですねー自分もまあまあ教師生活長いんですけど、ここまではないすよねえ」

「常勤の保健医さんまでいるんですよね!ほんと、わたしみたいなペーペーが赴任できるなんて不思議です」

わたしが呑気に笑っている横で、斗真先生の表情が曇った。

「……そう、っすね」

保健室にたどり着く。

「それじゃあ、行ってきますね。ありがとうございました」

「いやいや!気にしないで下さい!」

わたしは軽く頭を下げ、斗真先生に背を向けた。

「……っ、あの、丸木戸先」

斗真先生が何かを言いかけたその時、保健室のドアが開いた。
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