第23章 酒は詩を釣る針
永夢くんは目を丸くして、驚きの声を発する。
「わー……」
「なっ、なんだよそれ……」
聖くんがビクッと仰け反った。
わたしは二人が興味深々に見ている玩具を撫でる。
勃起した男性器を模した張り子が備わったバンド。
衣服のように履け腰に固定することが出来る。
わたしは両足をバンドに通し、位置を調整する。
「す……すっご……」
「うッ……」
二人の目は、女のわたしが身に付けた男性の象徴に釘ずけになっている。
わたしは悠々とペニスバンドを装着し、自分の椅子に座った。
キイ、と椅子を傾け二人の方を向く。
「……これ、舐めてくれませんか?」
ペニスバンドの先端部を持ち上げるようにして、ぷるんと揺らした。
「わたしを満足させてくれたら、ちゃんとご褒美もあげますよ」
聖くんは目尻を吊り上げてわたしを見る。
「は……なんだよ、男にわざわざこんなモノ奉仕させたいのかよ、悪趣味だなっ……」
聖くんの言葉遣いは荒いが、語気は弱い。
興奮しているのか、白い肌が紅潮し始めた。
視線もちらちらと泳ぎ、わたしの下腹に向く。