第23章 酒は詩を釣る針
「すみませんっ、お待たせしました!」
息急いて保健室のドアを開くと、椅子に座っていた永夢くんと聖くんが一斉にわたしを見た。
わたしはしっかりと荷物を手に持ち、部屋に入る。
「ご、ごめんなさい……」
永夢くんが人懐こくにこっと笑った。
「ううん全然〜」
穏やかな口調で手を横に振る。
「それにー、紗都せんせーが来てくれるんならオレらはいつまでも待つよ」
隣の聖くんに笑いかけた。
「ね、聖ちん」
「別に僕は暇だったからだよ、それ以外ないだろ……」
ふいっとそっぽを向く聖くん。
永夢くんは可笑しそうに頬を緩め、わたしに向き直った。
「ところで紗都せんせー、今日はどーしたの?」
「そうだよ、僕だけならまだしも二人なんて……何の用事なんだよ」
わたしは鞄に手をかける。
二人の目線を感じながら、
「お願いと言うか、ちょっとした命令ですね」
中からある物を取り出した。