第23章 酒は詩を釣る針
「……え」
続け様に持参したパソコンをコンセントに繋げ、電源を入れる。
そのまま、カチャカチャとキーボードを弄る。
──程なくして、テレビに無人の保健室の映像が浮かび上がった。
「何してんの……?」
不審そうにわたしを注視する時雨先生。
見せつけるように、わたしは鞄から手錠を取り出した。
「手、貸してください」
そろそろと差し出された時雨先生の両手を後ろ手に掴む。
拘束具を触れさせると、軽い金属音と共に金属製の輪っかが絞まった。
時雨先生の頬が上気し、息遣いが早まっていく。
わたしは新たな拘束具を取り出し、
「座ってくれますか?」
時雨先生はわたしの持つ足枷を見て、喉を上下させる。
静かに床に腰を下ろした。
わたしは時雨先生に這い寄り、顔を見上げる。
時雨先生の口端は興奮気味に上向きに引き攣っている。
「え、何……今日はこういうのがお望みで……随分本格的じゃん……」
わたしは時雨先生の脚に足枷を掛け、小首を傾けた。
「これはあくまで下準備ですからね」
「へー……期待させてくれるじゃん……」
わたしはこくんと肯き、腰を上げた。
「え……?」
ゆっくりと立ち上がり、視聴覚室のドアを開ける。