第22章 亭主の好きな赤烏帽子
「それで、もうひとつ、あの……」
サヘルくんはもじもじと言い淀み、ぽっと頬を赤らめた。
「ん?何ですか?」
濁りのない瞳でわたしを見つめる。
「……ご主人様は、ボクで、満足、してくれましたか……?」
「……はい、とても……可愛かったですよ、着てくれてありがとうございました」
サヘルくんはへにゃっと微笑む。
にこにこと幸せそうに笑いながら、わたしの肩に頭を預ける。
「良かったぁ……ボク、嬉しいです……ご主人様、大好きです……」
わたしはサヘルくんの返事に苦笑いした。
「……すっごく可愛いですけど、絶対に人前でそう呼ばないでくださいね、今だけですからねっ」
サヘルくんは勢いよく首を縦に振り、満面の笑みで答えた。
「勿論ですっ、ご主人様っ」
「…………」