第22章 亭主の好きな赤烏帽子
キラキラと目を瞬かせるサヘルくんに苦笑した。
「個人的なプレゼントなので、内緒にしておいて貰えると有難いんですけど」
「それは勿論っ……て、ええっ!そ、そんな、ボクなんかに、ダメでっ……」
わたしはしどろもどろになるサヘルくんを真っ直ぐに見つめ、にこっと微笑んだ。
「わたしからのプレゼント……受け取って、くれますよね?」
サヘルくんはごくっと唾を飲み込む。
小さく頭を垂れた。
「わ、分かりました……」
わたしから包みを受け取る。
ぎゅ、と抱きしめるようにしっかりと抱えた。
「ありがとうございます、紗都せんせい……嬉しい、です」
サヘルくんはわたしに向かって、幸せそうにぺこっと頭を下げた。
「はい、それじゃあ……」
わたしも笑顔を返し、呟いた。
「それを着たサヘルくんに会えること、楽しみにしてます」
✱
わたしは目の前に立ったサヘルくんに笑いかける。
「すっかり良くなったみたいですね、嬉しいです」
「は、はい……」
サヘルくんは赤面し、伏し目がちに頷く。
「それに……今日、ちゃんと着てくれたんですよね?」
わたしはサヘルくんの首筋に指を這わせ、つつっと線を引いた。
サヘルくんは背筋をピクンと逸らし、膝を揺らす。
「んッ……!」
震え声を漏らした。