第22章 亭主の好きな赤烏帽子
「こんにちは」
「ん、えっ、あ、なんで紗都せんせいが……」
サヘルくんは驚いた顔でドアを大きく開く。
丈の大きい部屋着に身を包み、わたしの顔を見つめる。
「サヘルくんの担任の先生とお話して今日はわたしが配布物なんかを届けに来ることになったんです」
「あ、ありがとうございますっ!」
わたしはカバンの中からファイルを取り出し、サヘルくんに手渡した。
「所で、体調は大丈夫ですか?」
わたしが首を傾げると、サヘルくんはにっこりと頷いた。
「もう全然大丈夫です、明日は必ず行きますっ」
「そうですか、良かったです。あまり無理はしないでくださいね」
「はいっ」
わたしは微笑し、もう一度カバンに手をかける。
カバンの中から、紙包みを取り出した。
「それと……これ」
「え」
「わたしからです」
笑顔を浮かべ、サヘルくんの前に差し出す。